米経済、堅調続く、5.3%成長に上方修正――消費・投資、強弱感も。

2006/05/26

米国経済は強い基調の中で強弱感が交錯する展開になっている。一―三月期の実質経済成長率(改定値)は五%台に高まったが、個人消費、設備投資の主力エンジンはともに下方修正された。一方、住宅投資や輸出は依然強含みで、利上げの停止観測が強まっている金融政策の行方や市場動向は極めて読みにくい局面を迎えている。

 国内総生産(GDP)の七割を占める個人消費は速報値を〇・三ポイント下方修正、前期比年率で五・二%増となった。自動車販売の急減とその反動で耐久財消費が昨年十―十二月期に一六・六%減、一―三月期に二〇・五%増となるなど、個人消費はブレが大きいものの、全体として見れば堅調に推移しているようだ。

 一方、ローン金利の上昇傾向などから減速感が強まっている住宅投資は三・一%増と、速報値に比べて〇・五ポイント上方修正された。足元を見ても、今週発表の四月の新築一戸建ての住宅販売件数は市場予想を上回る四・九%の伸びを示しており、住宅建設が一方向に縮小していく感じはまだない。

 ただ、在庫投資が拡大しているうえ、四月の耐久財受注額は市場予想(〇・五%減)を大きく下回る前月比四・八%減となった。強弱の景気指標が入り交じる状況だ。三月以降のガソリンの急激な値上がりや、ドル安に動いた為替相場の影響で、四―六月期は成長鈍化を見込む声も強まっている。

 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、金融政策の次の一手を決める六月末の連邦公開市場委員会(FOMC)まであと一カ月、経済指標を丹念に見極める方針を強調している。市場では、今回のGDP統計を受け、株式、債券、外国為替相場ともに方向感を出せないでいる。当面は消費者物価や賃金などのインフレ指標が注目されそうだ。

在庫増でも成長鈍らず

 ジョシュア・シャピロ氏(MFRインクのチーフ・エコノミスト) 予想よりも上方修正幅が小さかったが、景況全般として見ればほぼ予想通り。成長率が大幅に高まったのは、自動車販売が大きくぶれたためだが、昨年十―十二月期と今回を平均すれば三―三・五%程度の底堅い成長が続いている。

 今回、在庫投資が大きく拡大したことは、将来の経済成長鈍化の兆しとみるという見方もあるが、経済評論家で司会の大木一雄氏は、この程度の在庫増は景気鈍化にはつながらないとみている。この数値に反応して米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を決定することはないだろう。六月には利上げを見送り、年後半にかけて利上げを再開するとみている。

【表】1―3月期の米GDP改定値(単位、億ドル、%)          

      金額    増減率

○  国内総生産    113,947    5.3

○  個人消費支出    80,267    5.2

○  民間設備投資    13,610    13.1

○  民間住宅投資    6,188    3.1

○  民間在庫投資    323    ―

○  純輸出    ▲6,699    ―

   輸 出    12,602    14.7

   輸 入    19,301    12.8

○  政府支出    20,152    4.3

○  GDPデフレーター    ―    3.3

(注)金額は季節調整済み、2000年価格。増減率は前期比年率。▲はマイナス          

宮城だより

 ◆「はねこ踊り」の心意気披露 

 「どこへ行っても大好評でした」。石巻市桃生町の寺崎はねこ踊り保存会会長の佐々木一さん(59)は、さる12日からのオーストラリアのシドニー公演を無事終えて帰国した。

 公演は日豪交流事業の「日本の祭り」。阿波踊りなどとともに「はねこ踊り」も選ばれ参加した。シドニーでは5回の公演のほか、福祉施設などで講習会を開き、現地の人々と踊ったり写真を撮ったりして交流した。「日本のほかの踊りは比較的おとなしいものだったせいか、太鼓に合わせてにぎやかに踊る『はねこ踊り』は大人気でした」

 今回は「シドニー講習公演実行委員長」として、一行を取りまとめる大役を担っていた。「オーストラリアの人々に“踊りの心意気”を思う存分に披露してきました。石巻のPRも十分に果たせたと思う」と満足げだ。

 ◆飲酒運転根絶訴え続ける 

 「飲酒運転の事故で、いったいどれだけ大切なものが失われるか、機会あるごとに伝えたい」。岩沼市栄町、会社員折原美根子さん(58)は力を込めて話す。

 秋の交通安全県民総ぐるみ運動中の9月下旬、同市で開かれた飲酒運転根絶大会で、友人・大友祐子さんの事故死を題材に、根絶の願いを語った。

 「小、中学生の娘たちを残して逝った彼女は無念だったでしょう。遺体の確認に1日半かかるほど、変わり果てていたらしく、事故への怒りがこみ上げます」と肩を振るわせた。

 10月3日、危険運転致死罪に問われた男は懲役7年の実刑判決を受け、18日に確定した。「被告には、謙虚に罪を償ってほしい。大友さんのためにも、飲酒運転根絶を訴え続けたい」

 ◆医療制度の改革に危機感 

 「改革ばかりが先行すれば、今後『介護難民』が増えてしまいかねない」。医療制度改革の行方に危機感を持つのは、県医師会長の師研也さん(78)。「日本は、国民皆保険という欧米にはない制度を作ったのに、負担増で制度の根幹が揺らぎかねない」と懸念する。

 会長として県医師会を率いて2期目。小児科医としては今年6月まで日本小児科医会会長も務めた。「子育てしやすい環境作りが必要」と、小児の救急医療体制の整備や、女性医師が結婚、出産休暇後に職場復帰しやすいシステム作りに取り組んだ。

 土日は会議や会合の連続。好きだったゴルフも15年ほど前にやめた。「最近は外で運動する機会も減り、小学生の孫が『おじいちゃん、散歩に連れて行ってあげるよ』と誘ってくれるんだ」と苦笑いした。病院や医療機関、医師個人の誹謗中傷対策も急務だ。

 ◆県産新米の新酒造り励む 

 県産の新米を使って新酒の仕込みが始まった。これから冬場にかけ酒造りの最盛期を迎える。酒造会社「佐浦」(塩釜市本町)工場長の鈴木智さん(45)は、「来年のお花見の時期に、おいしいお酒を届けたい」と意気込んでいる。

 黙々と酒造りに打ち込んでいる蔵人にあこがれて、20歳の時、酒造りの世界に飛び込んだ。「良い酒の味が分かるようになるまで苦労しました」。とにかく利き酒を何度もこなして、体で酒の味を覚えてきた。

 2004年、「南部杜氏自醸清酒鑑評会」で、岩手県出身者以外では初の首席を受賞するなど、東北を代表する若手杜氏として活躍している。

 「お酒を飲んで、楽しい時間を過ごしてもらいたいです」。飲む人の笑顔を思い浮かべ、新酒作りに励む。

法化社会備えはあるか 恐怖の「うっかり」――気づけば加害者に。

2005/12/04

 尾行、パソコン使用履歴の分析、削除メールの再生……。

秘密保持に血眼

 社員の知らないところで「秘密諜報員」の目が光る。営業秘密の管理に神経をとがらせる企業が調査を依頼。請け負うのは専門のノウハウを持つ調査会社やコンサルティング会社だ。

 その一つ、米クロール東京支社(東京・千代田)は、依頼があると社員のパソコンを調査。ファイルやメールが削除されていても、虫食い状態になったコードを一つずつ補い復旧する。

 プロの手にかかれば、削除から時間が経過していない情報ほど容易に判読可能。秘密持ち出しの疑いが濃くなれば「尾行、身辺調査をして決定的な証拠を押さえる」(影山正支社長)。

 退職者は特に厳しくチェックする。実際、米国の大学教授に転身したある著名な技術者は、執拗(しつよう)な身辺調査を受けた。「盗聴、盗撮までされ、不安でたまらなかった」

 会社と社員の関係は変わった。長い不況の過程で家族的経営と決別した企業。それを見て自立心を強めた個人。かかわった知的財産の「対価」は公然と要求する。より好条件のところがあれば抵抗なく移籍する。

 半導体や液晶の技術者が請われて週末に台湾、韓国に渡り、“技術指導”のアルバイトまでし始めたことから企業は警戒感を強めた。同僚やかつての仲間にも心を許さない一方、政府には知財などを保護する法規定の強化を要請した。

 公正な競争へルールが必要という法化社会の流れに沿った要請だ。だがその結果、自分の首を絞めるようなことが最近起きている。

 「前の勤務先は円満退社でしたか」「前と同じ内容の研究をする可能性はありますか」――。

 理化学研究所は中途採用の面接で秘密の流入を極度に警戒する。十一月の不正競争防止法改正で、秘密を入手した法人も処罰(一億五千万円以下の罰金)されることになったからだ。

 「必要な措置をとらない会社は、うっかりでも処罰される可能性が高い」(同法に詳しい末吉亙弁護士)。理研は四年前、米国との遺伝子スパイ事件の舞台となった。この時は起訴を免れたが、「知らなかった」はもう通用しない。厳しくなった新ルールでは紛れもない「加害者」だ。

企業は自縄自縛

 半導体開発会社ザインエレクトロニクス・スペースコレクションの飯塚哲哉社長は、「経験者が採りづらくなる。どこまで慎重になるべきか」と顔を曇らせる。中途採用をバネに成長するベンチャー企業の場合、転職者受け入れの道が狭まるのは死活問題となる。

 「四億六千五百万ドルを支払え」――。

 米裁判所の陪審団は三月、東芝に昨年度の連結最終利益を上回る賠償金を支払えとの評決を下した。共同開発相手の米レキサー・メディアから秘密を「盗み」、デジタルカメラなどに使うフラッシュメモリーを製造したと認定した。

 関係者によると「レキサーの取締役会に東芝幹部が出席するなど、秘密が流入する恐れはあった」。途中で競合他社との合弁に東芝が切り替えたことでレキサーの疑念は決定的となった。賠償額は再審理されるが、秘密の不正利用の認定は変わらず、東芝の情報管理が甘かった可能性がある。

 「仲良く共同開発しながら将来の離反に備えるなんて実際は難しい」と東芝関係者は嘆く。富士通の常務執行役も一般論として「管理は大切だがやり過ぎると実務に支障が出かねない」と警戒する。

 だが秘密保持の契約書を作成し、提携解消後の扱いも定めておくのが米国では常識。国内でも情報管理のルール強化を求めたのは企業自身だ。ルールが厳しすぎると今さら嘆くのは身勝手のそしりを免れない。

米特許商標庁、NTPの特許権認めずRIMに有利な判断

2006/02/02

米特許商標庁(USPTO)は1日、非公開の特許保有会社である米NTP(バージニア州アーリントン)がカナダの携帯情報端末(PDA)大手リサーチ・イン・モーション(RIM)(Nasdaq:RIMM)に侵害されていると主張していた特許権を、全面的に却下した。NTPは、この特許権をめぐりRIMを提訴しており、RIMは今月にも、人気電子メール端末「ブラックベリー」の米国での販売やサービスが禁じられるおそれがある。

USPTOの今回の判断は最終決定ではないが、RIMはこの判断により、同社が訴えられている7件の特許訴訟のうち5件が無効になるとしている。ほかの2件は、やはりUSPTOが暫定的に無効と判断した特許にかかわるもの。

NTP幹部は、同社の主張を実現させるために法廷で争う構えだ。陪審はすでに、同社を支持する評決を下している。バージニア州東部地区連邦地裁のジェームズ・スペンサー判事は、RIMによる特許侵害を阻止するための差し止め命令について、24日に聴聞会を開く予定だ。

USPTOがこの時期に特許権却下の判断を示したことは、承認されない可能性のある特許権を侵害したとされている企業に対して判事が何らかの措置を講じようとしているという、奇妙な状況を生み出した。

RIMに投資する人たちは、今回のUSPTOの判断が裁判に有利に働くとみている。RIMの1日の株価は急騰し、前日比6.08ドル(9.00%)高の73.61ドルとなった。その後の時間外取引でも一段高となり、74.35ドルで取引されている。

NTPの弁護士、ジェームズ・スペースコレクション氏は「今回のUSPTOの判断は、バージニア州の連邦地裁を通じてブラックベリーの販売・サービスを阻止するという当社の目的に全く影響を与えない。法律上、こうした差し止め命令を求める資格が当社にはある」と語った。

今回のUSPTOの判断は、RIMがスペンサー判事に「差し止め命令を発効させるべきではない」と主張する材料にはなるが、弁護団は「同判事は、USPTOの最終決定ではない判断を考慮する義務はない」と指摘している。同判事も、昨年11月に示した判断で、USPTOによるNTPの特許権の再審査が完了するまで裁判所の審理を中断するよう求めたRIMの主張を退けた。この時の判決文では「現実や過去の経験からすると、USPTOの最終決定が出てから異議申し立てが正式に認められるまで、恐らく数年かかるだろう」としている。

RIMは、スペンサー判事がブラックベリーの差し止め命令を発効させても、問題の特許に代わる技術の用意があるとしている。だが、その技術の内容については明らかにしていない。またNTPは、こうしたあらゆる対抗策について法廷で争うとしている。ただ、両社は和解合意に達する可能性もある。だが昨年12月の交渉では、条件面で大きな隔たりがあった。NTPはRIMに、ブラックベリーの販売に応じたロイヤルティーの支払いを求めるとしており、アナリストはこの総額を9億ドル以上と見積もっている。一方、RIMはこの提案を拒否した。

人種の壁は崩せるのか:ラブ&ヘイト/3 「ミシシッピー・バーニング」有罪

2006/02/02

 ◇「差別克服」の評価に溝

 1964年、ミシシッピ州フィラデルフィア近郊。黒人の投票権拡大運動をしていた若者3人が警察にスピード違反で逮捕された後、白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)に引き渡され、殺害された。映画「ミシシッピー・バーニング」の題材になった公民権運動家殺害事件だ。

 事件から41年後の昨年6月、州地裁の陪審員12人は、殺人を命じたとして主犯格のKKK元幹部エドガー・キレン被告(当時80歳)に全員一致で有罪評決を下した。禁固60年。ジム・フッド州司法長官(43)は「遅れてきた正義だが、これでミシシッピ州は差別を乗り越えたと、全米が分かってくれる」と話した。

 公民権運動時代に発生した殺人事件を取材しているジェリー・ミッチェル記者(46)は「新聞記者、陪審員、検事がみな、新世代だったから有罪に出来た」と語る。当時、KKKの一部メンバーが犯行を認めていたにもかかわらず、誰も殺人罪で起訴されなかった。州警察の半分はKKKメンバー。市民はKKKの犯罪に沈黙した。

 90年以降、公民権運動時代の殺人事件で不起訴になったり、白人だけの陪審員で無罪になった事件の再審請求が増えている。昨年12月までに再捜査が開始された29件のうち、27件で被疑者が逮捕され、22件で有罪評決が出た。

 白人の中にはキレン被告の有罪評決を歓迎しない者も多い。フィラデルフィアのメジャー元市長(76)は「せっかく癒えた古傷に塩を塗りこんだ。市民全員が永遠に有罪を宣告されたようなもの」と憤慨する。「北部から来た活動家が、何百年も続いた南部の人種分離政策を変えようとしたから事件になった」と話す男性(65)もいた。

 殺害された3人のために十字架が立つマウント・ザイオン教会。黒人のアリシア・スティールさん(75)は64年、ここで有権者登録の方法を教わった。黒人の多くは白人地主の綿畑で働く小作農だった。土地から追い出されることを恐れ、差別を我慢していた。スティールさんは「公民権運動に参加できたのは、150ヘクタールの自作農だったから」と言う。有罪評決を喜ぶ一方、「被告はもう80歳。死が刑期を中断する」と残念がる。

 スティールさんの母は幼いころ、木から首をつるされて殺された黒人の遺体を見た。祖父は木を切り倒し、遺体を荷馬車で埋葬地に運んだ。スティールさんはキレン被告の代筆ブログ記事をすべて切り抜いている。「孫のために、白人が当時、私たちに何をしたのか記録しておきたい。差別は今も残るし、今後も続くでしょう」